文章検査~牛のいななき~
あっという間に12月ですね。
なんか今年もあっという間でしたわ。
9月に初めて文章の聞き取り検査、というのをしました。
人工内耳をしたばっかりの頃は、1文字の音の検査ばっかりで、6割くらいだったんで
す。STさんに単語検査してみたい、って言ったんだけど、ちょっと時期が早いよと。
結局単語検査ができるようになったのは1年後か2年後だっけな。
単語検査だったら、もうちょっと成績いいんじゃないかしら!!と思っていたのです
が、余りそんなこともなく・・。結局かえって難しいんですわ。いきなり何の前触れも
なく「でんき」って言われても「天気」なのか「電気」なのか「電池」なのかさっぱり
分からないし。「へんひ」みたいな聞こえ方だし・・・。
なので文章の聞き取り検査やってみます、って言われた時も、あ~~~あ~~多分
結果悪いんだろうなあとは思っていたんです。
一度やってみましょう。
「むもうほなににょちだはふひへすは?」
んあ?ナニコレ?
最初にムォ~って聞こえた。牛か豚?鳴き声?
全然わからない。
あとで答え教えてもらいました。なるほどねえ・・・。
その会話がなされた場所に行ってみましょう。
果物屋さんです。
私は、その果物屋の店員です。
お客様が「むもうほなににょちだはふひへすは?」と店員である私に聞いています。
私の目の前には秋の果物がたくさん並んでいます。
柿、梨、ぶどう、りんご、みかん、栗・・・と並んでいます。
「むもうほなに」はきっとそれのどれかでしょう。
お客さんを観察したら、ぶどうを指さしているようです。
ぶどうに目をやってみると、値札が付いていません(なんでやねん)
お客さんはぶどうの値段を聞いているのでしょうか?
多分違います。
ぶどうの値段を聞くのなら、もっと文章が短いはずです。
「むもうひふは?」みたいな感じです。
ここまでくると、きっとわかる。「むもうほなににょちだはふひへふは?」は、
「ぶどうと梨とどっちが安いですか?」です。
果物屋・客・財布握りしめている(どれかを買う気ではいる。)、並んでいる商品、
客の口の形、目線、指さしている方向にある商品、そういうのを総合的に合わせた
ら・・・
牛のいななきは文章になります。ちゃんと意味のある言葉になります。
・・・・・・・・・・・・・・・。
あ~~~、アタシあんまりやっぱりわかってはなかったんだな、聴こえているような
気はしてたんだけど、ある意味気のせいだったか。
ここまで明瞭な聞こえではなかったのか。と。
けど、読話(口の形を読む)のみに比べたらはるかに楽ではあるんです。
ごくごく自然に周りの状況把握と、読話と、これから出てくるであろう言葉を予測
しているので、「むもうほなににょちだはふひへすは?」みたいな聞こえでも
その場面に実際にいれば「ぶどうと梨とどっちが安いですか?」って言っているように
ちゃんと聴こえるのですね。脳みその補完機能ってほんっとにすごいですわ。
病院の検査室という、声以外の情報が皆無のところでは、そういう「情報」が全くな
いので「想像力」が働くことができないのですね・・・。
なので、宇宙語か暗号にしか聞こえませんでしたわ。
これも何回も繰り返し聞いて、どういう聞こえ方をするか?というのを覚えたら、き
っと聴き取れるようになるのだろうと思います。
この話題の続きではないのですが、とある飲食店でお持ち帰りを注文しました。
注文を聞いてくださった店員さんが、補聴器を付けていたんですね。
小型の耳掛け式なので軽度~中度難聴かなあ?と思うのですが、snow個人的には
すごいびっくりしました。接客業って難聴者にとって一番難しい仕事ですもん。
店内で食べる場合は、リストに名前を書くのですが、私は書きませんでした。
それで多分予測したのか、私が言う前に「お持ち帰りですか?」と聞いてきました。
注文内容は、お持ち帰りができるものが限られているので、多分聴き取れるのでしょ
うね。注文はスムーズでした。
難しいのが「名前」を聞き取ること。
「名前は?」と聞かれて、ちょっと迷いました。snow、ちょっと珍しい苗字なの
です。「snowです。(実際は苗字です)」と答えたところ、え~~っとえっともう
一度・・・と一生懸命聞き取ってくださって(snow、そんな発音はきれいではない
です)、注文控えに「むもう(実際は違う言葉です)」って書いていました。
あ~~「まみむめも」とか「はひふへほに」聞こえるんだろうな~~~・・。で、他
にも買いたいものがあったので、他の店に行って、また戻ってきました。
どうしようかな~・・snowですっていう方がいいかな~、むもうっていう方が
いいかな~~~、どちらが分かりやすいだろうと考えていると、「お客様、注文のお品
です!」と渡してくださいました。
・・・・凄!!!
このお店、かなり繁盛しているのです。
10分でお持ち帰り、店内、会計と20人くらいがその一人の店員さんと関わるような
忙しさなのです。
そういう中で、だれがどの注文をしたか、っていうのを記憶してはるんですね。
名札見たら役職も書いてありました。お店の責任者、というような立場でした。
障害の克服とかそういう言葉、あんまり好きじゃあないけど、こういう障害を補う
努力も大切やんなあ・・・・していかないとあかんよなあ、と思いました。
snowも、がんばろ~っと、なんかその店員さんには励まされました。
いっぱいみんな頑張ってんねや、と思います。
いつも食べているお持ち帰り、ですが特にこの日は美味しかったです。
今年お気に入りだった、一番小さいマップも、このマップだと「聞き取り」が
だいぶ低下している、っていう事も気づいて、その事実も受け入れていかんなあか
んな~~と最近は思っています。
このマップだと聞き取りができない、ということです。
このマップがあれば、ここに逃げてしまう。
手放さないとね。