alongsnowの日記

ペンドレット症候群により、先天性難聴。今は人工内耳ライフです。

人工内耳の手術~思い出してみる~

 人工内耳の手術は、夏に受けた。

 確か7月の終わり。

 としたら、音入れ・・・も8月8日くらいだっけか。

 もう、初めて音が聴こえた、2回目の人生が始まった日!みたいな感動・・・も

 あんまりなかったかな。初めて聞いた音って「ボボボ」だけでしたもん。

 ああぅ!ボボボが聴こえた!感動!なんてできますかいな。

 ど~~~しよ・・・コレ・・・先長いぞ・・・って思いましたもん。

 

 そんなわけで、手術した時を思い出してみようと思う。

 このブログにも手術の事、書いたことない。

 何故か?

 

 ちゃんとした理由が実はある。

 

手術にまつわるエピソードがなかなかのもんだから。

 

書こうか迷ったから。

 

 

 手術室ってね、歩いていくんですわ。

 手術の時間前に、病室担当の看護師さんが迎えに来てくれます。

 「手術室専用」って書かれたエレベータに乗り込んで、手術室のある階で、病室担当

の看護師さんと手術階担当の看護師さんが引き継ぎをして、ここで病室担当の看護師さ

んとはお別れです。 

 で、手術階担当の看護師さんに、手術室まで連れて行ってもらいます。

 

 なにやら、手術室担当の看護師さん、カルテのようなものを持っています。

 チラッと眺める。

 あ、アタシの名前だな。

 手術室・・・D?Dかな・・・。

 

 さすがに大病院だけあって、手術室も数えきれないほど。

 手術室の二枚扉の片側に全面にAとかBとか書かれています。

 扉も金属っぽくなくて、白く塗られていて圧迫感全くないし・・。

 なんかおしゃれやわ~。近未来の研究室のよう。

 

 ここで、看護師さんから補聴器を外すように言われます。

 あ・・・

 ついに、補聴器で聴くのは、これが最後なんだ・・・。

 この時は、さすがにウルっと来ました。

 補聴器は、澄んだ綺麗な音なんです。

 あまり聴こえてはなかったけど・・。もしかしたら耳鳴りだったかもしれんけど。

 

 

 補聴器を外してしまうと、全く聴こえません。

 看護師さんが何か言っていますが・・・わかりません。

 

 しばらく歩いて、とある手術室の前で止まりました。

 手術室の扉の前に、丸椅子が置いてあります。

 ここに座ってください、と丸椅子を指さしています。

 

 言われるがままに座るsnow。

 

 もうすぐ手術室のスタッフが迎えに来ます・・・と言っていたような。

 

 え~~~snow、英語は得意じゃないですよ。

 

 けど

 

 文字のCとDの区別くらいはできますよ。

 

 視力も1.5ありますしね。

 

 この扉・・・・Cって書かれて見えるんですけど。

 

 え?カルテには思いっきりDって書いてなかった??

 

 え?アタシ、Cの扉の前に座っていません?

 

 そしたら・・・扉が開き・・・・・・。

 

 もう笑顔のスタッフさんが5人くらいワラワラと迎えに出てきました。

 

 これから、手術が始まる患者さんが少しでもリラックスできるように、の笑顔。

 手術室に入ってください~と手招きます。

 

 けど・・・・・見る見るうちに凍り付く笑顔・・・。

 顔は凍り付きますが、慣性の法則で手は招き続けています。

 アタシは手術室に足を踏み入れ・・・。

 

 50メートル先の葉っぱの形もわかるという1・5の視力がとらえた画像は、

 肺のレントゲン写真と、患者の男性の名前。

 

 ・・・・・・・・・・・・

 

 おい!

 違うやんけ!!

 

 アタシは男じゃねえ!

 

 この手術室の主は私じゃあねえ!!

 

 

 

 手術室のスタッフさんたちも、一応お名前教えてください、リストバンドも

見せてください。と・・。

 あ、違いますね、え~・・スタッフ呼びますね。

 大丈夫ですよ^^

 何も心配ないですからね。

 

 というスタッフさんの顔はひきつっておりました。

 

 ・・・・・。

 

 同じ日に二つの手術室に入る人もそうそうおらんだろうな。

 

 

 

 

 (注)

 実際に手術をするときは2重3重にチェック体制が整ってるので、相手が何を言ってい

るか聴き取れなくても、自分の名前を言えなくても、間違えたままということはないで

す。

 私自身も、フンフンと分かった風するんじゃやなくて、はっきりと筆談してくださ

い、って言うべきでした。