alongsnowの日記

ペンドレット症候群により、先天性難聴。今は人工内耳ライフです。

人工内耳の臨界点

そ~~いえば、人工内耳の手術をして4年目を迎えました。

 え?

4年目?

・・・・・・・・。

 

もうそんなになるんですねえ。早いやん。

 

 人工内耳をする前は、1年か2年くらいしたら臨界点というか、聞こえの限界がくる

んだろうなあって思っていたんですよ。聞き取れるようになるレベルはここまで。これ

以上は聞き取れません、みたいな。

 

 人工内耳手術した当時は、すべての声が同じ「ぼーーーー」という聞こえ方だった。

 

 2年目はなんとなく人の声とそれ以外の環境音は区別できるようになった。 人の声はわかるけど宇宙語のよう。日本語か英語か韓国語か中国語の区別は全くつかなかった。たまに繰り返し聴く単語が聞き取れることがあったくらい。

 聴こえてくる音は正直嫌いだった。補聴器の方が自然な音だった。低いというか濁った音に聞こえてきて、正直この音に慣れる時が来るとは思えなかった。

 

 3年目には日本語らしく聞き取れるようになった。1対1なら初対面の人でも会話はなんとかできるようになった。環境音はだいたいすぐに何の音かわかるようになった。

 一番感動したのが、池にいた水鳥が羽ばたいて飛んで行ったとき。あの空気をはらんだ羽が立てるぶわっとした音が聞き取れたとき。羽が内側にはらんでいた空気を包み込みながらも切り裂いていくような音が聴こえたとき。生まれて初めて聞く音なのに、誰からも説明してもらわなくても、この音がどうやって生じた音なのかわかる瞬間。

 こんな音が存在するということに衝撃を受けた。

 こんな繊細な音がわかるというのに衝撃を受けた。

 

 4年目に気づいた事、

 私たちは「音」を捨てているんだという事実。

 目が見えている時、視界にはすべての風景が映し出されているけれども、実はほんの一部しか見ていない。今必要な部分だけを見ている。例えば道路を歩いている時は、前を走っている車、近づく自転車、すれ違う歩行者、信号を見ている。信号の横にあるラーメン屋が開店中なのか閉店の札がぶら下がっているのかは、「必要のない情報」ならば見えているけれども見ていない。見えていない。

 同じように音も、1年目2年目にあんなにもはっきりと聴こえていたハイヒールが地面を打つ音は全く聞こえない。足音も聞こえない。

 でも「音」は確かに存在する。

 ハイヒールの音に気を取られていたら、隣人との会話が聞き取れなくなってしまう。だから私たちは無意識のうちにハイヒールの音を捨てる。

 そうやって無意識のままに捨てられた音はどれだけあるのだろう。

 聞こえるということは、実は聞こえなくなることなんだということにびっくりする。

 補聴器にはそれがなかった。例えば前述した道路を歩いている時の視界に置き換えると、補聴器はほんの一部しか見えない。見えるのがラーメン屋の閉店の札だけかもしれない。そうすると私たちはラーメン屋の閉店の札を見ることだけしかできない。なので、それを無意識に視界から外すということはできない。 

 だから、雑音が聴こえていたら邪魔だと思いつつもその音は意識から外れることはない。聴こえる音の種類があまりにも少なすぎるから。

 でも人工内耳はありとあらゆる音を拾う。そして脳は抱えきれずに捨てる。

 その結果、聞きたかった情報だけが聞き取れるようになる。どの音を拾うかは脳がこれまでの知識と経験から無意識のうちに選択していくんだろうなあと思う。それを覚えるのに4年という歳月が必要だったのかもしれない。

 もっと歳月が必要なのかもしれない。

 

 先天性の成人とか、失聴期間が長い場合、人工内耳は入れた瞬間に、完全な音が聴こえるわけではない。長い歳月が必要だけれども、長い歳月があるということはそれだけ可能性もどこまであるかわからないということかもしれない。

 

 人工内耳の臨界点、2年くらいで来るだろうなと思っていたけど、まだまだこれから。

 発展途上中!

 

 そして20数年かけてスパイ級(?)にまで成長させてきた読唇術はアッサリと綺麗にサッパリ忘れ去られてしまうのでした・・。

 

 不便な時もあるんや、人工内耳の電池切れとか困るんやんってsnowは思うのですが、へっぽこ脳みそは、「しゃーないやん。snowの脳みその容量がそれしかないから悪いんやん。」って知らん顔しているのでしょう・・・。

 

 余談ですが、この夏、ポケモンGOがすごい流行りましたね。

 うちの家、ネズミと蝙蝠しか出ません。

 ちゃんと出る場所決まっているみたいですね。水辺ではコイキングとか・・。

 そうなん?うちってネズミと蝙蝠の巣窟なん?

 どっこの家もそうなんだと思っていたんですわよ。そしたらウチはポッポが多いかなっていう人が多くて、あ~~~うちもうちも!ポッポばっかり出るわ~困るわ~って話し合わせていますが、ごめんなさい。見栄張りました。

 ネズミと蝙蝠です。

 

 たまに外出中にネズミと蝙蝠に出くわすと、アレ?ウチから逃げてきたん?

とか思いますねえ。で、家に帰ってきたら、洞窟に帰ってきた~って思いますねえ。

ポケモン起動させたら、やっぱりの蝙蝠かネズミがお帰り~って迎えてくれるんや。