alongsnowの日記

ペンドレット症候群により、先天性難聴。今は人工内耳ライフです。

小さいマップ またその後日談

あっという間に11月ですね。

今年もあと2か月?早いわ~~・・。

 

今日は小さいマップ、またその後日談について書きます。

ちょっと暗い記事になるかも?

それでも読んだろ、っていう方だけ読んでもらえたら嬉しいです。

 

 

 

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この小さいマップを入れることになったのは今年6月。

その前の年の9月に大きなめまいを起こしたのがきっかけでした。

それまではどんどんマップを上げ続けていて、色んな音が聴こえるのが楽しくて

仕方がない日々でした。初対面の人とも普通に会話ができる!、水鳥の羽ばたく瞬間の

音が聴こえる!音楽ってこういう感じだったんだ!・・・と。

それが気が付いたら無意識に人工内耳を切ってしまう時間が多くなってしまっていまし

た。私自身、人工内耳のスィッチを切った、という感覚もなくて、誰かに声を掛けられ

て初めて「アレ?人工内耳切ってる!」って気づく感じ。

「音のない世界」に還っていました。

 

今まで20年くらい音のない世界の住民だったもんなあ。

私の本当の世界はここだったのかもしれない、なんて思っていました。

あんまり違和感もないですしね。音のない世界。

 

そこから引っ張り出してくれたのはSTさんでした。

「そんなん今まで聴こえていたのに、急に聴こえなくなったら、周りが困るよ」

と・・・・。

私は「音」がなくても困らない。それが私にとっての普通の世界でしすね。

けど、「音」をなくしたことを周りは気づかない。普段通りに話しかけて私が気づかな

かったとき、それは聴こえていなかったとは思わずに、無視していると思われるよと。

 

自分は困っていない、けど周りは困る。

これちょっと衝撃でした。

 

で、小さいマップを入れてもらって、これでできるだけ人工内耳を付けている時間を増

やしてください、と。

 

けど、この小さいマップもやはりそんなに小さくはなかったんです。

小さいのは小さい。けど、確実に音は入る。

また無意識に切るっていうのを繰り返し、慌てて入れ直すというのをずっとしていまし

た。

 

そうこうしている時に、気が付いたんです。

 

何で無意識に切っちゃうのか。

 

「うるさい」と感じる音が何なのか。

 

人工内耳を始めたばっかりの頃、不快に感じる音、というのがありました。

健聴者にとっては何でもない音なのですが、なぜかその音だけが際立って不快に聴こえ

るんです。例えるなら黒板をひっかく音、のような。

これもまた個人によって違うのですが、スーパーの袋をガシャガシャする音が不快な

人工内耳装着者は多いみたいですね。

これは「物理的な不快音」と言えるかもしれません。

 

「うるさい」と感じる音は、物理的な不快音ではなく「精神的不快音」だったんです。

 

これに気づくのに結構時間かかっていましたね・・・。

ずっとめまいが原因だと思っていたので・・。

 

よく中程度難聴者が、周りで会話をしていて自分が入れないときに、精神的に辛い、っ

ていうの・・・よくわかっていませんでした。時には自分のことを笑っているような気

がする、陰口を言われているような気がする、仲間外れにされているような感じが

する・・・って思うこともあるらしいですね。

想像はできるんです、自分もそうだと思っていました。

けど、私の場合・・・全くの無音に近かったので、視覚的情報でしかなかったんです。

振り返ったら、何人かで固まっておしゃべりをしている。けど、無音に近いので、それ

が盛り上がっているのかどうかすらわからなかったんですね。むしろどちらかと言えば

盛り上がっていない方。静かにしゃべっているだけの集団。

なので、気にも留めていなかったんです。

 

けど、人工内耳をしてこういう「音」が入るようになったんですね。

入るのは入る。でも断片的な情報しか入らない。

普段なら多分気にも留めない。

 

けど自分の精神的状態が不安定な時、それは「精神的不快音」になる。

 

音そのものは決して不快ではない。

 

人工内耳をして、音を獲得して、初めて気づけたことかもしれません。

 

多分、こういう精神的不快音から逃げたくて、人工内耳のスィッチを無意識に

切っていたんだろうな。

 

そうか、人工内耳そのものがダメになっていたわけじゃあないんだ。

 

気づけて良かった。

 

気づかんかったら、人工内耳、外してしまっていたかもしれへん。

 

自分が精神的に不安定なんも気づいてなかった(のんびりしとるな)

円形脱毛できてて初めて気づいたわ。しかも前髪やで。目立つっちゅうねん。

 

私にとってこの音は「精神的不快音」なんだ、って気づけたのは、ある時、一緒にいた

方の「うるさいな~、耳障りやわ」っていう言葉でした。え?「大きい音」が耳障り

っていうのじゃないの?ってこれもある意味衝撃。たとえ小さい音であっても、聞いて

て嫌な気持ちになる音ってあるんですね。音というより中身?

 

え~~。

 

なるほどなあ。

 

精神的不快音、の存在に気づいて、ようやく「小さいマップ」が小さくなってきまし

た。こないだ隣にいる人と会話していて、小さいマップだと会話の中身が聴き取れなく

なっていました。こないだまで小さいマップですらうるさいって感じていたのに。

そっか~、脳みそがまた音を受け入れてくれるようになったんだ。

精神的不快音に私が気づくことができて、脳みそが精神的不快音を捨ててくれる

ようになってきているんかもしれない。

気が付かん間は、脳みそも全部の音を拾おうとするので・・・。

 

音によって精神的不安定になる、というのも初めての経験。

多分今までは怒鳴られても、音としての衝撃は入ってこないので、多分ダメージ

も少なかったんだろうな。あ、怖い顔、位の衝撃度。

同じ人でも、声の感じで「機嫌悪いな」とかわかってきていますもんね。

そういうの「流す」のも大事やね。

 

反面、精神的不快音を感じない場面での会話で「声」が癒しになるんだ、というのにも

気づけました。そうこうして、ようやく小さいマップ以外でも、それよりもちょっと大

きいマップでも平気になってきました。え、この一番大きいマップでずっといたの?と

びっくりすることも。

 

まだ脳みそは音を捨てることにそんなに慣れていないので、小さいマップはお守りに

もう少し置いとこうと思います。

 

「耳障り」っていう言葉の意味を教えてくれた方が、自分はこうやってストレス発散し

ている、っていうのも教えてくれたので、それも実行。

自分が楽しいと思える場面をつくること。そうやって、自分にとって楽しい場面はどこ

だろう?と後ろを振り向いた時、友人たちがいてくれたことに改めて感謝。

 

 

業務連絡。またご飯誘って~。円形見て笑ってやって~。